《ブラジル》最高裁=環境政策の大統領令を否決=環境基金評議会等の再編命ず=森林破壊の現状は変わるか ブラジル日報WEB版より

 2021年に世界の熱帯雨林破壊の40%は伯国で起きたという国際調査の結果が報じられた28日、最高裁がボルソナロ大統領が出した環境政策に関する大統領令3件を否決、中程度のリスクのある企業への環境許可を自動的に出す事も禁止したと28、29日付現地紙、サイトが報じた。
 ボルソナロ政権は法定アマゾンでの森林伐採増加などで国際的な批判を浴びてきたが、熱帯地域の原生林の30%を占める国が熱帯雨林破壊の40%の責任者という事実は、ブラジルの環境政策が変化した結果でもある。
 現政権での環境政策転換を物語るものの一つが、最高裁が否決した大統領令だ。今回の判決は、7日に始まった「緑のパック」と呼ばれる環境関連の法規などの集中審理の一端だ。同パックは様々な政党が提出した七つの訴えを含んでいる。
 28日に否決された大統領令はレデが訴えたもので、全国環境基金(FNMA)の評議会のメンバーから民間団体を外したもの、法定アマゾン内の州知事を法定アマゾン全国審議会から外したもの、アマゾン基金の運営委員会解散を決めたものの三つだ。
 大統領令前のFNMA評議会は政府側議員9人を含む17人からなっていたが、大統領令で市民団体が削除され、政府側議員のみとなっていた。報告官のカルメン・ルシア判事は市民団体削除を違憲とし、大半の判事がこの判断に賛同した。
 法定アマゾン全国審議会はモウロン副大統領が議長を務めているが、法定アマゾン内9州の知事は非参加で、実態把握や監視活動なども細部に手が届かなくなるとされていた。
 アマゾン基金は諸外国からの支援も得て運営されていたが、現政権での森林伐採や森林火災の増加などで諸外国からの支援金が途絶えている。同基金は森林保護プロジェクトや監視活動の支援にも使われていたが、現政権では監視機関への予算削除などで、森林破壊抑制のための活動が縮小し、違法伐採や違法伐採された木材の不法輸出などの問題も拡大していた。
 大統領令三つの否決と環境許可の自動発行禁止により、現政権には3機関の再編成や環境許可審査の厳格化が求められる。専門家や環境運動家は今回の判決を勝利と変革への第一歩と評価している。