≪砂古画集99作品紹介≫ 作品編その11

40 笠戸丸 アクリル画 70x100

サントス港での笠戸丸の寫眞は岸壁上から船尾を撮った寫眞以外に残っていない。笠戸丸が係留された14番倉庫の⑭は戦後何回かの後発移民社員の出迎で親しんだマーク⑫⑬⑭の一つ。これを絵に残すには、左舷を海上から見るしかない。
2006年に2度目來伯の、船舶研究者で笠戸丸に関して研究図書2冊の著者、宇佐美教授と知り合えた。氏はイギリスの造船所調査に3度目もの渡英で100年前の笠戸丸建造設計図を発見しておられたので、帰国後メールで送信して頂いた。
船名だけが白地にポジで KAZAN とあるのは、建造当初はイギリスの船舶会社がボリビアのPOTOSIの名前で同地採掘の錫の大量運送のため発注建造中であったのを、ロシアの富裕都市kazanの市民の献金で、戦時に備え軍用船適応を考慮しての買い取りであったため、POTOSIのネガをKAZANのポジに切り替えた所以である。
笠戸丸は6000トン。カザンの設計図を参考に描いたが、左後ろ海面から見上げる構想にしたので、船尾が誇張された。
埠頭から市内へ500メーター程引っ込んだ発着点からの通勤者用小舟で、⑭と⑮の間の水路を画材集めで通過する度に係留された外国船の高い船尾を上に見て、女性の巨大なお尻を見上げたような印象に依るもの。
手前のボートには、当時世界に知られたTOGOを名付けた。マストの自然木や帆布の縫い目は、サントスにある100年前の海景画家ベネヂットカリスト美術館で参考。
人工の近代建造物を歴史的に描くのは、自然物と異なり、絵になり難いと身に染みた。
文協の移民資料館に贈呈、収蔵。
41 アクリマソン公園の犬 水彩 50x70

このGalleriaで紹介3度目の、アクリマソン公園です。2005年頃描きました。水彩のフルサイズです。今回は犬を4匹招き入れました。一匹はCampos do Jordãoの家で飼っていた、胴長のために「ソーセージ」とも言われるダックフントにしました。
カンポス療養の義父義母をサンパウロの自宅に引き取るようになり、犬は聖市のアパート内規では飼育出来ず、カンポスの知人宅に譲りましたが、ある日泡を吐いて死亡したと知りました。
病気に強いダックフントなので、カンポスに多い紫陽花の花を食べたものかと後ほど想像するようになりました。紫陽花の花は子供や小動物には危険な花の一つと知りました。
42 Rioが望めるNiteroiの海岸 水彩 38x54

1983年、青木建設が関係したホテルシーザーパークに泊まって、リオとブリジッドバルド-滞在で有名になったBuziosなどを廻ろうと、友人の運転で2夫婦4人の旅行に出かけました。
この友人とは1950年代前半にリオで同居した親友。滞在中に一日だけ別行動し、親しい遠縁の家族を訪ねリオ対岸のニテロイに渡った折描いた水彩です。 このGalleria Sunagoのトップから2番目と同じ海岸ですが、描いた10年程前はすでに開発されて、利用者で一杯の白浜に変貌していましたが、83年の当時は辺鄙な存在で雑草に覆われていました。
43 弓場劇場 水彩 30x40

この Galleriaの12番目で、サンパウロから北西600キロのミランドポリスにある弓場農場の自家用鶏豚処理場の絵を紹介してもらいましたが、800人収容の劇場の絵も参加させて頂きます。
コーヒー園のあった斜面に数十年前に自分達で建てたもので、舞台を見下ろせるようになっており、地面は白い砂で裸足になっても心地よくできております。