私たちの50年!!

1962年5月11日サントス着のあるぜんちな丸第12次航で着伯。681名の同船者の移住先国への定着の過程を戦後移住の歴史の一部として残して置く事を目的とした私たちの40年!!と云うホームページを開設してい居りその関連BLOGとして位置付けている。

2021年01月

浅海さんの連載記事転載その14です。


皆さんへ 第136回 江崎道朗著「コミンテルンの謀略と日本の敗戦」(PHP新書 1108)

それゆえ、明治維新の日本が議会制民主主義や自由主義経済を導入しつつ君民共治の道を模索したのは至極妥当なことであったと言える。つまり、日本の保守主義者が保守すべきものとは、聖徳太子が共に是れ凡夫のみと言う言葉で示した人生観であり、明治天皇が五箇条のご誓文で示した自由主義的な政治思想なのである。小田村たち精研メンバー、即ち若き保守自由主義者たちの立脚点は、まさに聖徳太子から五箇条のご誓文、そして帝国憲法へといたる日本の真の伝統であった。其の帰着としての帝国憲法体制は単に条文だけではなく、五箇条のご誓文や御告文も含んでいたし、吉野作造が示した民本主義のように民意を重んじる政治を実現していく憲法習律の蓄積も含んでいた。日本が皇室を戴く君民共治の独立国家として、民のための政治を行い、自由を守っていく。そういうあり方が日本のあるべき姿だと考えられていたのである。

29-如何なる人間も不完全であるからこそ

精研メンバーたちが、戦争は本来短期終結を目指すべきものと迷いなく主張したのも、其のベースに如何なる人間も不完全であるという認識があったがゆえであろう。人間は長期間の戦争に耐えられるほど強くない。頑張りには如何しても限界がある。長期化すれば、どんなに一生懸命に頑張ろうと思っていてもダレてしまう。平時と戦時は別で、戦時は短いほうが良い。戦時が長くなれば、戦時と平時のの区別がつかなくなり、戦時でもダレていくのが人間性の必然だ。だから、如何しても戦争をしなければならないなら、短期間でなければならない、と言うが小田村たちの基本的な考え方だった。そもそも自由主義経済も、議会制民主主義も、如何なる人間も不完全であると言う発想に、極めて親和性のたかいものである。如何なる人間も不完全であるから、市場メカニズムという神の見えざる手をうまく活用したほうが良いのだし、様々な意見を持ち寄って衆議を尽くしたほうがいいのである。そして、明治天皇はじめ幕末から明治を生きた賢人達が大日本帝国憲法に託したのは、その様な国家のあり方だった。ところが、戦前の右翼全体主義者は、その様な本来の日本を真っ向から否定したのである。彼らは明らかに、極一握りの優秀なものが社会を指導するべきだと考えるレーニン、スターリン、ヒトラー式の全体主義に幻惑されていた。だが、この様な全体主義は明らかに、如何なる人間も不完全であると言う思想の対極にあるものだ。不完全ではない優秀な指導者を前提として初めて成立する議論だからである。

 浅海 拝  352


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《ブラジル》コロナ感染症の特効治療か?!=血清治療が臨床試験直前の動物実験段階へ ニッケイ新聞WEB版より

ブタンタン研究所(Divulgacao/Instituto Butantan)

 サンパウロ市ブタンタン研究所が進めている、新型コロナ感染症に対する血清治療が、臨床試験前最後の動物実験の段階に入っている。
 ブタンタン研究所は国内最大の予防接種ワクチンの製造拠点で、毒蛇や狂犬病の犬にかまれた場合に使う血清の製造でも知られている。
 新型コロナ感染症に対する血清治療の研究は5カ月前に始まった。現在はハムスターを使った動物実験を行っており、数日中に実験で得たデータを発表できる状態まで来ているという。

 ハムスターに投与している血清は、不活性化したウイルスを馬に接種してできた抗体を分離した血漿を基に作られたものだ。不活性化したウイルスを馬に接種して抗体を持つ血漿を作るのも、これまでの実験の成果の一つだ。こうして準備した血清は、事前にウイルスを接種して病気にしたハムスターに投与される。
 血清投与でハムスターが回復すれば血清が有効だという事になるが、ハムスターに接種するのは生きたウイルスだから、実際の感染症患者に近い状態といえる。ウイルスの採取には細心の注意が必要で、サンパウロ総合大学内の認証済みの施設で抽出されている。
 同研究所開発イノベーションセンター理事のアナ・マリーザ・タヴァッシ氏によると、現在行っている実験は、新型コロナ感染症に罹った動物が持つ生きたウイルスが抗体投与で減少するかと、治療に要する時間を確認するためのもので、新しい治療法として国家衛生監督庁(Anvisa)の承認を得るために不可欠な工程の一つだ。

 血清治療はリオ州のブラジル・バイタル研究所も研究しているが、両研究所が採用している方法は異なる。バイタル研究所の場合は不活性化したウイルスではなく、コロナウイルスのタンパク質の一つを馬に接種して生じる抗体を使って血清を作っている。
 血清治療はメキシコやアルゼンチンでも研究中で、アルゼンチンでは中~重度の患者に対する臨床試験も行われている。同国での治験では、致死率低下や人工呼吸器が不要となるという形で、有効性が証明されている。
 動物実験で良好な結果が出てAnvisaが臨床試験開始を認めれば、実際の患者に投与すべき血清の量なども確認できる。タヴァッシ氏は、臨床試験で有効性が証明されれば、新型コロナ感染症患者に対する非常に可能性のある治療法になると確信している。
 同氏によれば、ブタンタン研究所には血清治療実用化のために必要な実験を行うのに必要な数の動物やインフラが揃っており、生産能力も2~3倍に強化できるという。3カ月間で作った血清は2250回分だ。
 血清治療に関する研究や実験の迅速な進展は十分なインフラと経験を積んだエキスパートが揃っているからで、ワクチンや血清の開発・製造という特殊分野のリーダーとして、長年の投資を続けてきた結果だと同氏はいう。(27日付G1サイト、同アジェンシア・ブラジルより)

《ブラジル》副大統領側近がクーデター画策?=下議関係者との通話暴露 ニッケイ新聞WEB版より

モウロン副大統領(Marcelo Camargo)

 アミルトン・モウロン副大統領は28日、下議たちにボルソナロ大統領の罷免を働きかけていた疑惑を持たれている側近の解雇を決めたと28、29日付現地紙、サイトが報じている。
 モウロン副大統領の側近が複数の下院議員に大統領の罷免を持ちかけていた疑惑は、28日付のサイト「アンタゴニスタ」の報道で明らかにされた。
 同サイトが報じたのは、側近のリカルド・ロエシュ・モラト・フィーリョ氏がある下議の側近とワッツアップで交わしたメッセージだ。モラット氏はそこで「複数の下議の側近たちと話している。準備ができているのはいいことだ」と語っている。

 下議側近が「何のための準備だ?」と問うと、モラット氏は「以前はアウグスト・エレーノ安全保障室(GSI)長官が軍内部の絶対的存在だった(軍人閣僚を統括していた)。だが、今はモウロン氏が台頭し、二分化している」「大統領はパンデミック対策で失敗を繰り返し、失墜している。モウロン氏の方が準備が出来ているし、政治家だ」と答えていた。
 この会話は公開されると同時にボウソナロ派の反感を買い、「モウロン氏がクーデターを起こそうとしている」との騒ぎとなった。

 これにはモウロン氏の陣営も驚き、モラット氏解任を即座に発表した。
 モラット氏は休暇中だった。グローボ紙によると、同氏はモウロン氏に事実関係を問われ、「携帯電話がハッキングされた」と主張したというが、モウロン氏は信じなかったという。
 モウロン氏と大統領の関係が危うくなっている例はこれだけではない。同副大統領は27日、2月に行われる見込みの閣僚改編について問われ、「複数の閣僚が入れ替わるだろう」とした上で、具体的にエルネスト・アラウージョ外相の名前を挙げた。
 アラウージョ氏に対しては、中国との関係を悪化させて中国からのコロナワクチンの原材料の輸入に支障をきたしたとして、辞任を求める声が高まっているが、元々は大統領がヒエラルキーを無視して強引に外相に就任させた経緯がある。大統領はモウロン氏の発言直後にアラウージョ氏を擁護する発言を行い、「現政権閣僚は私が決定する。誰一人外さない」とも強調した。
 だが、中道勢力のセントロンなどは、両院議長選後に閣僚や公社総裁などの人事改変が行われることは確実と見ている。

≪アメリカ便り「2021の10大リスク 第2部≫ 富田さんからのお便りです。


  和田さん&W50年の皆さん、ご機嫌いかがですか?先週お送りした、ユーラシア・グループによる202110リスク」は大好評で、続編を希望する方々が多数いらっしゃいました。そこで今週はその第2部「リスクNo.24」を掲載いたします。リスク2の「コロナ後遺症」は、2021は専門家が昨年期待していたよりも明るいニュースで始まる、とのご宣託です。

続いては「気候変動問題」とNo.4 「米中緊張の拡大」をお送りいたします。米中緊張は、高く、かつ深刻化していく、とユーラシア・グループは書いています。詳しくは、下記のブログをお訪ねのうえ、アメリカ便り202110大リスク 第2部」でお確かめくだされば幸いです。なお来週は一笑一若・メキシコ小話で皆様方のご機嫌をお伺いいたす予定です。http://iron3919.livedoor.blog/archives/9032480.html

富田眞三  Shinzo Tomita

アメリカ便り青グラデーション


2021の10大リスク 第2部(No.2~No.4)
(ユーラシア・グループ Ian Bremmer, Cliff Kupchan)
1.saexpressnews - コピー

                写真:(www.expressnews.com)
 前回は「2021の10大リスク」のNo.1のみをレポートしました。すると、多くの読者からせめてNo.4までは詳細を知りたい、との要望がありました。まことに有り難いご提案なので、下記に掲載することに致しました。ちなみに、再度10大リスクを列記しておきます。
1.*46 (第46代米国大統領バイデンを指す)                       
2.コロナ後遺症
3.気候変動問題                   
4. 米中緊張の拡大
5.グローバル・データの報い              
6.サイバー空間の紛争
7.孤立するトルコ                    
8.原油安にあえぐ中東
9.メルケル後のヨーロッパ                
10.混乱が続く中南米



10大リスクNo.2 コロナ後遺症 (LONG COVID)
2.Top-Risks-

              写真:(www.eurasiagroup.com)
2021年は、新型コロナウイルスのワクチン候補に関して、専門家が昨年期待していたよりも明るいニュースで始まる。世界中の人々が、 2021年の前半には普通の生活に戻り始めるだろう、という楽観的な見方を強めている。 
しかし、たとえ大規模なワクチン接種が開始されても、新型コロナウイルスやその広範囲にわたる影響が消滅することはない。各国政府は性急すぎるワクチン接種スケジュールに追われ、パンデミックの経済的な爪跡である多額の公的債務、失業者、そして信頼喪失などが残る。ウイルスの進化により、集団免疫とワクチンの効果という当初の目的が、時とともに意味のあるものへと変化していく。経済回復の程度は国によって、また国内でも地域によって異なるため、体制側に対する国民の不安と怒りは増大する。さらに、新興市場は債務危機に直面する可能性がある。 


先進国と新興国の国内情勢
 経済回復がK字型、すなわち一部のグループは繁栄を取り戻す一方で、他のグループは依然として困難に見舞われているという状況に、すべての 国が悩まされことになる。これまでウイルスの矢面に立たされてきた人々、すなわちサービス部門の労働者を始めとする低所得者やマイノリティのコミュニティや女性は、過去に例がないほど長引く所得の減少と雇用の安定が見通しにくい状況に悩まされる。 これは主に、十分な景気刺激策が行われず、予算も不足する一方で、物価を安定させて需要を下支えする中央銀行の能力に陰りが見えるためである。米国では、今後のどのような景気刺激策であれ、議会を通過するものは最も大きな被害を受けた人々の救済には不十分であろう。欧州の復興基金が有効な支援を提供するのは、早くて2021年後半であり、それまでは、資金不足に悩む周辺諸国は他の資金源を見つけてしのぐ必要がある。

 しかし、経済刺激のために国債の追加発行に 頼れば、利回りの急上昇を引き起こすリスクがある。新興市場では、不十分な景気刺激策やセーフティネットにより、その影響がさらに深刻化する。中南米、中東、東南アジアでは 問題は急速に悪化し、社会的セーフティネットがある程度 しっかりしている欧州や北東アジアでは、まだ良いがやはり影響を受ける。 

先進国市場と新興市場のはざま
ワクチンへのアクセス、配布状況、および債務負担を主な原動力として、復興までの 道のりは国によって大きく異なるが、新興国が最も厳しい 状況に置かれるだろう。国内でワクチンの製造能力を持たない多くの国は、事前購入契約を結ぶ余裕がないために順番待ちの列の後方におり、2021年後半か2022年まではワクチン 供給を受けられない。新興国では、インフラ、特に「低温流通 網」が脆弱なためワクチンの配布が遅れ、最も有効性の高いワクチンは除外される。
ワクチン共同購入のための国際的枠 組み「COVAX」も有益ではあるが、先進諸国が自国の取り分を 確保するまで、この枠組みを通じて相当量のワクチンが 供給されることはない。したがって、これらの新興国の国民の 多くが、今後も厳しい旅行規制の対象となり、それが経済成長を阻害する。新型コロナウイルスの感染者数と死亡者数で他国よりも健闘している東南アジアでさえ、長期にわたる貿易や観光業の低迷に苦しみ、そのために 経済回復は遅れ、根底にある階級、民族、宗教間の分断も 激しくなる。 

今 年 は 大 打 撃 
いくつかの例外を除き、2020年のパンデミックは、政府の基盤を揺るがしたり、存亡にかかわるような経済危機を引き起こすことはなかった。むしろ「旗下結集」現象を引き起こし、世界の中央銀行は、大量の流動性を供給せざるを得なかった。しかし、2021年には、多くの市場の根底にある脆弱性が明らかになるであろう。各国政府は、2020年の景気後退の余波や大幅な公的債務増加や、社会的セーフティネットのほころびに悩まされる。 

今年は世界的に不安感が巻き起こり、現体制を支持しない有権者が増える。それにより、抗議運動が活発化し、ポピュリストの候補者にとってはチャンスが訪れる。米国では、10大リスクNo.1「第46代アメリカ大統領」で 説明したK字型回復により、二極化は進行する。それが トランプの支持者を勢いづけ、ガバナンスの質を低下させる。 発展途上国では、同様の理由から、社会階層によって復興 レベルが異なることで既に困難であるガバナンスをさらに難しくする。 

そして債務危機問題がある。これは、2021年に発展途上国が 直面する問題である。財政圧力と差別する貸し手に直面する新興国は、新型コロナウイルスによる経済的な打撃を緩和する余力が限定される。「炭鉱のカナリア」、すなわち最初に波乱の兆しを告げるのは、国際資本への依存度が高く、基盤がぜい弱な要新興国、つまりブラジル、南アフリカ、トルコである。すでにこうしたストレスに直面している、更に小さく貧しい国々(例えば、コスタリカ、エルサルバドル、ザンビア)は、IMFやその他の公的金融機関から莫大な財政支援を受けているか、受けることを検討しており、中には債務の再編が必要な国も出てくる。Gゼロ世界では、そうした決定を取り仕切る ルールはあまり明確ではなく、中国の役割も不透明なため、不確実性は高まる。

 新興市場における経済危機は、先進国の経済回復の芽を 摘み取り、世界経済の成長率を大幅に低下させる可能性が あり、復興そのものにおける格差が、政治的な不安定さを増幅 させる。今年は、我々の健康だけではなく、世界経済においても、新型コロナウイルスの脅威が根強く残るだろう。(No.2リスク 終わり)



10大リスク No.3 気候問題
(Climate: Net Zero meets G-Zero)
3.Top-Risks-

              写真:(www.eurasiagroup.com)
ネットゼロとGゼロの交差 2020年は、地球史上最も暑い一年となり、国や企業は、拡大する 危機に対処するための新たな方針を発表した。中国、欧州連合、英国、 日本、韓国、そしてカナダは、いずれも今世紀半ばまでに、国全体の二酸化炭素の排出量を実質(ネット)ゼロにする意思を表明した。 また、グローバル企業や金融機関も同様の意欲的な目標を設定した。 

最も重要なのは、今年は米国がこの世界的なイニシアティブに復帰すると予想される点だ。 バイデンは、就任初日にパリ協定に復帰するのみならず、遅くとも2050年までには、世界随一の経済大国である米国が二酸化炭素排出量を実質ゼロにする強い意思を明らかにしたのだ。バイデンのこの公約は、トランプが怠ってきた気候変動対策を覆すだけでなく、世界が一致協力する新たな時代の始まりであり、Gゼロに対する ネットゼロの勝利を意味する。但しそれは、筋書きどおりに事が運べばの話しだ。 現実には、気候変動に関するより野心的な企てに由来する企業や投資家にかかるコスト、そしてこれらの気候変動関係の諸計画の相互の連携を過大評価することに由来するリスクが伴う。 ホワイトハウスは、大規模な気候変動対策を公表する予定だ。(後略)


10大リスク No.4 米中の緊張は拡大する 
(US-CHINA Tension broaden) 
4.eurasia g.

                                                      写真:(www.eurasiagrouo.com)
 トランプの退陣により、米中間の対立は今までほどあからさまではなくなり、双方が一息つこうとする。しかし、事態の沈静化につながるこうした要因も、米国の対中関係の緊張がもたらす同盟諸国への波及、世界を回復させようとするなかでの競争、そして世界をよりグリーン化するための競争という、新しくこれまであまり注目されてこなかった三つの要因によって相殺されるだろう。全体としては、今年も昨年同様、緊張に満ちたライバルとしての米中関係は続くのであって、それは危険をはらんでいる。 

米の対中政策:トランプとの違い
より強硬な対中政策を一方的に追求したトランプ政権と違い、バイデンは、対中政策に ついて同盟諸国を糾合し、連携を図って、具体的な経済政策や安全保障政策に対する 対中統一戦線の形成に努める。その際の米国の主要な連携相手は欧州連合、日本、インドとなる。中国と欧州連合の投資合意のつまずきにも関わらず、中国に対する不信感が広く高まりつつあるために、新政権はある程度の成功を収めることになる。そしてそれは転じて、中国とこれらの米国の同盟国との間の溝を深めることになる。 しかし、広く中国に対抗する統一戦線を形成するのは、容易に実現できることではない。 中国政府は、とりわけ米国政府と緊密に連携する国に対しては、昨年オーストラリアに 対してしたように反発するだろう。中国政府は包囲網形成の脅威に対抗するために、経済的なインセンティブを自ら提供する場合もある。そしてこのことが、米中関係をさらに 悪化させる外交合戦を引き起こす。

 米中両国は、他国にワクチンを提供することにより、その影響力を拡大しようと努力する。 中国は、米国に勝てる態勢は整っている。国内ではパンデミックをほぼ封じ込めたために、その強力な国家機構を利用して、ワクチンの輸出をより容易に行うことができる。
また、現在米国で入手できる最高品質のワクチンと違い、シノファームのワクチンは、比較的高い温度(約2~8℃弱)でも問題なく輸送できるために、 低温輸送インフラが不足している低・中所得国にとっては魅力的である。

  こうした強みにより、中国は、ワクチン外交での大きな賭けに勝つことができる。中国政府は、ワクチンの輸出契約だけでなく、主要新興国でワクチンを製造する契約も結んだ。これらの取り決めにより、中国は、東南アジア、中南米、サハラ以南アフリカで友好関係を強化している。また、ワクチン外交の急伸は、中国の外交政策の決定を「戦狼派」ないし強硬派が優位に立って進めていく中で起きる。その結果、中国政府からは傲慢な姿勢が強く見受けられるだろうが、ワクチン接種を待ち望んでいる南側諸国にとっては明るい知らせだ。

 一方、バイデンは、景気回復の迅速な始動を含め、内政に集中する必要があるために、中国とのこの競争に充てる時間もリソースも不足している。また、米国は、国内のワクチン配布で容易ならざる難問を抱えており、米国の国際的イメージがさらに傷つく恐れがある。フィリピンのように、米国との対外政策への更なる協力の条件として、ワクチンへのアクセスを求めているような国に対しては、米国の交渉力は落ちる。その結果、ワクチン配布の段階で、中国が相対利得を獲得したことについて、米国のエリートや一般市民がますます反感を強め、二国関係全体にさらなる緊張がもたらされることとなる。 

グリーンテクノロジーを巡る競争
 もう一つ新たな緊張要因となるのは、グリーンテクノロジーをめぐる競争である。中国は、2030年までに炭素排出量を減少に転じさせ、2060年までにカーボンニュートラルの実現を目指すと表明し、バイデンの就任前にパブリック・ディプロマシーで点数を稼ぎ、米国を劣勢に立たせようとしている。中国はまた、バッテリーから電気自動車、太陽光や風力発電を含め、21世紀の主要なクリーンエネルギーのサプライチェーンの多くで、すでに米国を大きくリードしている。ここでも米国は、第二次世界大戦後に続いてきた新自由主義からの脱却となる産業政策ツールを活用して、ひたすら中国に追いつこうと躍起になるだろう。また米国は、クリーンエネルギーのサプライチェーンを自国に取り戻すために大規模な投資を行い、海外で石炭に投資する中国の面目を潰し、気候変動とクリーンエネルギーの問題について中国にさらに圧力をかけるために、同盟国を結集させる。中国も、トランプ時代に気候変動対策におけるソフトパワーの活用になじんでいるため、こうした米国の動きを容易に看過することはしない。

 同盟国の結集、ワクチン外交、そして気候関連技術の開発競争に関する米国の努力は、長年の緊張と相まって、米中間関係をさらに複雑化していく。 二国間の貿易およびテクノロジー、ウイグル人の扱い、香港、台湾、そして 南シナ海に関する見解の相違も、すべてが今年に持ち越される。そして、こうしたこと全てが理由となって、危機発生時には誤算が生じ、エスカレーションが起きる可能性が高止まりすることとなる。 

 確かに、両国は、1月20日の大統領就任式の後、しばらく休戦期間を設けたいと考えるだろう。バイデンにとっては内政に注力するため、習近平にとっては、2022年の党大会に先立って権力の強化にいそしむための小休止である。しかし結局は、雪解けとまではいかない。今年、両国間の緊張は全体として高く、しかも深刻化していく。(終わり)


参考資料:Eurasia Group/Top 10 Risks 2021)

アジア系コミュニティの今(4)=サンパウロ市で奮闘する新来移民=大浦智子=韓国編〈2〉 激減していたコミュニティ ニッケイ新聞WEB版より

キム・ジンヒさんとご主人(奥)、3人の娘さん

キム・ジンヒさんとご主人(奥)、3人の娘さん

 「ブラジルに来てからはいつも韓国コミュニティーの中で生きてきました。縫製業を中心に同じような仕事で皆が儲けることができてきたからです」
 そんな状況が近年は大きく変化した。特にこの10年間で中国人が増加し、中国から大量の安い既成服が輸入販売されるようになったことや、それまでミシンで縫う仕事だけを行っていたボリビア人が、布の裁断から縫製、販売まで一貫して独立して行うようになり、競合他者が増加して値下げ競争がひき起こったからである。
 追い打ちをかけて今年3月にはパンデミックで商店が3カ月の営業停止となり、韓国コミュニティーの商売はさらに打撃を受けることになった。

 「最盛期には5万人ほどいた韓国人は、現在、1万人から1万5千人に減少したといわれています。同時期にブラジルに来た韓国人の友人も、渡米した人や韓国に戻った人はめずらしくありません」
と最近の韓国コミュニティーの状況を語るキム・ジンヒさん。
 ジンヒさんの妹もブラジルで大学を卒業してから韓国に戻り、ウェブデザイナーとして働き、韓国人と結婚してそのまま韓国に暮らす。
 ブラジルの伯母の4人の子どもたちも2人はブラジルにいるが、1人はブラジルで医師となった後、米国に渡り、さらに韓国に移ってエステを開業した。もう1人は韓国人と結婚してチリに暮らしている。
キムさん家族が経営する『ナッチファッション』のインスタグラム

キムさん家族が経営する『ナッチファッション』のインスタグラム

 ジンヒさんのご主人(54)は20歳の時にジンヒさんと同じような境遇で両親とブラジルに移民した。靴の製造・販売に携わってきたが、結婚してからはジンヒさん家族の経営する『ナッチファッション(Natti Fashion)』の仕事も手伝ってきた。
 ブラジルに生まれ育つ21歳、18歳、16歳の3人の娘は、ジンヒさんが韓国語で話しかけるとポルトガル語で返ってくる。
 「私もポルトガル語をもっと勉強しておけばよかったと思います」と少し後悔の念をにじませる。
 「自分の心は韓国人で、いつも韓国は恋しいです。毎朝起きたら今も韓国のニュースを観て、韓流ドラマが楽しみです。今はフェイジョアーダにも慣れましたが、家での食事は基本的に韓国料理です」
 思春期の多感な時期に祖国を離れ、未知のブラジルに移住したジンヒさん。独身の頃は度々韓国に旅行していたが、最後に家族そろって旅行したのは7年前。子どもの頃は教師になることや女性軍人になりたかったが、ブラジルに来たことでそれらの夢は不可能になった。
 その分、3人の娘には自分の専門分野をしっかり勉強をして社会で活躍してほしいと願っている。

キムさん家族が経営する『ナッチファッション』のインスタグラム

キムさん家族が経営する『ナッチファッション』のインスタグラム

 「両親や祖父母の世代は第2次世界大戦が終わるまでの日本の植民地時代、日本人から受けた偏見や差別に不満を持っていた話を聞かされました。でも、私たちの世代はもう過去の事であまり実感がわきません。韓国人も日本人も同じアジア人です。ブラジルの日系人も日本の日本人も落ち着いていて、よく教育されているという印象です」
 高校3年生のジンヒさんの次女サブリナさんと同級生の日系二世の大浦聡一郎さんは、「なぜ過ごしやすい韓国や日本から両親がブラジルに来たのか」という素朴な疑問を共に抱いている。
 2人はブラジル流の自己主張はあまり肌に合わないアジア系二世というゆるやかな連帯感もあり、似たようなブラジル観を共有できるほのぼのとしたアジアの平和を感じられる時代である。(つづく)

 


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