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大内@鎌倉です。

「デカセギ」について、今日の朝日新聞がこんな記事を出していました。考えさせられる内容です。
私個人は「出稼ぎ」という言葉に対して決してマイナスのイメージは抱いてはいませんが、やはり南米の日系人の方の前では軽々しく使う言葉ではないように思います。


デカセギの苦境、劇で訴え 日系ペルー人労働者ら
2009年8月29日
http://www.asahi.com/showbiz/stage/theater/TKY200908290146.html

 南米から「デカセギ」で来日した日系人が、昨年来の不況で突然解雇され、帰国を迫られる例が相次いでいる。そんな厳しい現実を、日系ペルー人労働者らのアマチュア劇団がコミカルに演じ、活躍の場を広げつつある。市民に外国人労働者の苦境を広く知ってもらい、日系の労働者にも自省と奮起を促そうとの試みだ。

 「クビになったんだけど、仕事ないかな」「オレもクビ。寮を追い出されるから、しばらく泊めてよ」――。

 劇団セロ・ウアチパの最新作アミーゴス(仲間たち)は、体調を崩して解雇された出稼ぎのペルー人が仲間を頼るが、みんな失業中だとわかり、治療代も払えず困り果てるというストーリーだ。

 01年に立ち上げ、東京を拠点に演目は約20作品。高校や国際交流団体からの公演依頼が増え、今年6月には日本ラテンアメリカ学会に招かれて学者たちの前で演じた。

 メンバーの日系2世、久保山ルイスさん(44)自身も昨年末、2年余り働いた横浜市内の電子機器製造会社を解雇された。専門学校に通う2人の子を抱え、再就職しようにも日系人とわかると面接を断られる。雇用保険は7月上旬に切れた。妻のギッセーラさんも昨年10月末、弁当工場を解雇されると家計に負担をかけまいと帰国した。

 「日本人もみんな苦しいから仕方がない」。ルイスさんはそう言うが、妻に雇用保険が出なかったのは、保険料の企業負担を嫌った勤務先が外国人を保険に加入させなかったからだ、とも漏らす。7月末、神奈川県内の製箱工場にようやく職を得た。

 台本は劇団員全員で練る。日系ペルー人と日本人が5人ずつ。劇団員で神奈川県内の労組では外国人労働者からの相談にも乗る日系ペルー人のナカホド・モニカさん(46)らが案を持ち込む。人材ブローカーに「日本の組合はヤクザ」とうそをつかれて組合加入を断念させられる実話や、給与未払い、残業代ゼロといった現実をちりばめる。

 批判のまなざしは日系人にも向けられる。最新作では病気になって会社に社会保険への加入を求めた主人公が、上司から「加入しないと決めたのはあなたでしょ」と断られる場面も。手取り額が減るのを嫌がり、社会保険に入りたがらない日系人労働者の現実を映し出すものだ。

 劇団員のセサル・ホルダン・イケダさん(64)は横浜市内のチーズ加工工場で働く。「私たちがデカセギに来た理由や日本での暮らしぶりを、いろんな人に知ってもらいたくて始めた。劇なら日本語が苦手でもメッセージを伝えられると思った」

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 外国人労働者のうち南米出身者は、大半がブラジルとペルーから来ている。それぞれの人口が多い上位10都市の統計では、昨年末ごろを境に大半の都市で外国人登録の数が減少。今年6月末までの8カ月間で、ブラジル人は7万9467人から約6800人、ペルー人も1万4698人から約300人減った。自治体の担当者らは「解雇された日系人が、帰国せざるを得なくなったからだろう」と見る。

 日系人は90年の出入国管理法改正で、3世までは特別な技術などがなくても日本に長期滞在でき、職種を問わず働けるようになったため来日が急増。外国人登録数で見ると、日系人の大半を占めるブラジル人とペルー人は07年には計37万人を超え、法改正前年の89年の約20倍にまで増えた。

 多くが自動車や精密機器、加工食品などの生産現場で「単純労働」を担ってきたが、昨年末の金融危機以来、業績悪化などを理由に解雇が急増した。日系人を解雇した後に、国の研修・技能実習制度で来日した中国人を低賃金で働かせている例や、雇用維持のために支給される助成金を国からもらいながら日系人のみを解雇している例もあり、神奈川シティユニオンの村山敏・執行委員長は「会社は経営が苦しいからというが、悪質な解雇が多い」と指摘する。(岩田誠司、金成隆一)