「七つの海に羽ばたかん」 横浜で学移連55周年記念大会 10/07/01
 
【横浜発・吉永拓哉福岡支局長】かつて海外雄飛を志す大学生たちで結成された日本学生海外移住連盟(学移連)の創立55周年記念大会および、杉野忠夫氏を偲ぶ会が27日、横浜市のJICA横浜国際センターで開催された。大会にはブラジル移住者を多く輩出した東京農業大学、日本大学、拓植大学ほか、遠くは鹿児島大学など学移連に加盟していた20校から約150人のOBが出席。また、学生服を身に纏った現役の大学生やブラジル、パラグアイ、ペルー、アメリカ、カナダに在住する学移連OBの姿もあった。

 この日は東京農大OBたちが中心となって発行した学移連55周年記念誌『我が青春の学移連』(全217ページ)が出席者に配布された。
 はじめに大会委員長の伊波洋之助さん(拓大卒/元横浜市議会議長)があいさつで、「学移連として海外に派遣された人、海外移住サークルで活動していた人、皆さんにはそれぞれの青春がある。今日は楽しく若き頃を懐古したい」と述べた。

 つづいて大会の趣旨でもある故・杉野忠夫学移連顧問会長を偲ぶ会が行われた。
 杉野氏は56年に東京農大初代農業拓植学科長を務め、海外へ農業移住を希望する若者たちに多大な影響を与えた人物で、東京農大生のみならず、学移連に携わった学生たちからも指導者として敬われていた。

 この日は、過去に杉野氏から指導を受けたことがある小野功東京農大名誉教授が、『杉野先生の業績』と題した記念講演を行った。
 「神の如き愛と英知に満ち、ゴリラの如く逞しき生命力を持った人間たれ」
 小野さんは、生前の杉野氏の言葉を会場で披露し、「杉野先生は人を愛し、土を愛し、人に尽くしてきた」と思い出を振り返った。
 次にこの1年で死去した学移連関係者に対して黙祷が捧げられた。
 その後、夫人とともに訪日した山中正二北伯農大会会長が献杯の音頭を取り、懇親会へと移った。

 出席者たちは、テーブルに並べられたフェジョアーダを囲みながら、学生時代の思い出話に花を咲かせ、東京農大の名物踊り『大根踊り』を現役学生たちとともに踊った。

 懇親会の途中、学移連OBによる社会貢献活動が報告された。それによると早稲田大学OBは「ブラジル人労働者支援」、三重大学OB「自然保護・熱帯雨林再生」、拓植大学OB「エクアドル児童食糧援助」を行っている。
 最後には学移連の連盟歌を合唱、「七つの海に羽ばたかん いざ行かんかな我が友よ―」と勇ましい声が会場に響き渡った。
 学移連は今後、正式なOB会の発足に向けて再結束を誓い合っている。

2010
630日付