目指せ東京2020=日系ブラジル人スイマー、ポリアーナ・オキモトの挑戦 ニッケイ新聞WEB版より


 今年8月に開催されたリオ五輪、女子オープンウォータースイミング10キロで銅メダルを獲得した、日系ブラジル人のポリアーナ・オキモト(33)は、9日から11日にかけてリオのコパカバーナビーチで行われた、オープンウォータースイミングの国際大会「海の王と女王2016」に参加した。
 男女1人ずつでペアになって沖に浮かぶヴイで設定されたコースを共に3周ずつ、合計6周してタイムを競う。
 男子ブラジル人スイマー、アラン・ド・カルモとペアを組んで参加したオキモトは2位の成績だった。
 銅メダル獲得の舞台となったコパカバーナとの再会は、オキモトにとって喜びだったが、より大きな喜びは、彼女の功績を称え、五輪と同じコースを泳ぐ10キロオープンウォータースイミングのアマチュア大会「スーパー・チャレンジ」が創設されたことだ。
 「銅メダルを取れたことで、人々の関心が集った。これが私のオープンウォータースイミングに対する貢献」とオキモトは語った。
 ブラジル人女性スイマー初のメダリストとして、オキモトは長い競技生活の最高点に達した。「20年来の夢だった」そう語るのは彼女自身だ。
 現在33歳のオキモトは、まだオープンウォータースイミングのためにできることがあり、そしてオープンウォータースイミングで自分の満足感を満たす可能性があると信じている。
 「やめることなんてできない。私の身体能力はまだ進化している。アスリートは、衰えを感じたときに引退するもの。私はまだ、下り坂じゃなく、上り坂。次の東京五輪までこのまま泳ぎ続けたい」と語る。
 オキモトのキャリアは上り調子なのに対して、リオ五輪を終えたばかりのブラジルスポーツ界全体のサポート体制は逆行している。
 「銅メダルをとったあと、『これで今後のサポート体制も充実して、落ち着いて競技を続けられる』と思っていたけれど、現実はその逆だった。スポンサーもブラジル水泳協会もむしろ不安定になった。こういう不安は、確実に選手のパフォーマンスに影響する」と続けた。
 銅メダルを獲得したのに、五輪後にブラジル政府からのサポートが打ち切られ、オキモトは心理学者、マッサージ師、栄養学者ら、多くのスタッフを失い、今では時間決めで、フィジカルトレーナーと契約するのみだ。
 「東京五輪までの競技サイクルを考えるために、協会のサポートは不可欠よ。メダルは一朝一夕にとれるものじゃないから。今すぐにでも長期計画をスタートさせる必要がある」と危機感を募らせる。
 「未来を心配しすぎず、過去の栄光にすがりもせず、現在に集中するだけ」と語るオキモトは、来年7月にハンガリーで開催される世界水泳に標準を合わせている。