アメリカ便り「FBIの権力乱用を許したオバマーバイデン」  富田さんからのお便りです。

   和田さん&W50年の皆さん、お元気ですか?アメリカ便り「FBIの権力乱用を許したオバマーバイデン」をお届けします。米国同様にリベラル派が多い日本マスコミが書かない、トランプ政権の元大統領補佐官フリンに対する起訴が取り下げられた件は先月リポートしました。今回はこの件について、オバマから批判された、バー司法長官の見解を取り上げます。現政権の司法長官は、「米国はこれ等の政治的論争を決着させる、適正な方法を持っている」としました。さて、それは何でしょうか?下記のブログをお訪ね下されば幸いです。http://iron3919.livedoor.blog/archives/6529100.html

 

富田眞三

  Shinzo Tomita

アメリカ便り青グラデーション

FBIの権力乱用を許したオバマーバイデン
1.patriotpost.us.cartoons

               画像:(www.patriotpost.us/cartoon/)
2016年のFBIによる、マイケル・フリン・トランプ政権の国家安全保障問題担当大統領補佐官が辞任に追い込まれた、いわゆるロシアゲート事件に際してのFBI捜査官たちの権力乱用を許したことに対して、オバマ政権幹部の刑事責任は問えない、とバー司法長官は語って、大多数の米国民を失望させた。
だが、長官は少なくともバイデン氏は11月の大統領選挙で国民の審判を受けることになる、とも語った。今週は日本ではほとんど報道されない、この件についてレポートしたい。

元閣僚も職探し
前回のアメリカ便り「オバマ、大統領選の中心人物になる」で、前政権の官僚の集まりであるオバマ同窓会に触れた。2016年1月、ワシントンから地元テキサスへ戻ってきた、元オバマ政権閣僚のスタッフから筆者は興味深い話を聞いた。彼女のボスは今後少なくとも4年間は無職になるので職探しをしている、とのことだった。そして彼はちょうどその時期、改選に当たっていた、テキサス州立大学の総長職(Chancellor)に立候補したのである。筆者は、大学の総長になるには、博士号が必要なのに、彼は修士号しか持っていないではないか、と言ったところ、14あるテキサス大の各キャンパスの学長(Presidentと呼ばれる)は博士号が必要だが、総長はその必要はないとのことだった。要するに総長は大学システムの経営の担当がその任務なのだ。もっとも前任の総長は小児心臓移植の世界的権威の医学博士だった。
2.thebusinessjournal

                  写真:(www.thebusinessjournal.com)
日本の2.5倍の面積があるテキサスの州立大学は、8つの都市に総合大学があり、その他の6都市に医歯学部がある24万の学生が学ぶ巨大組織なので、総長職は元連邦政府の大臣にとって、相応しいポストと言える。だが、元閣僚は惜しくも選挙に敗れてしまった。
この話を聞いて、オバマ同窓会の面々は弾劾でも何でもして、一日でも早くトランプをホワイトハウスから追い出して、再びワシントンに返り咲きしたいと考えていたのだ、と知ったのである。米国にはキャリア官僚制度はないので、ポストは保証されておらず政権が代わると、失業するのだ。なお、外交官だけはキャリア官僚である。

さて5月中旬、司法長官のウイリアム・バーはフリン元大統領補佐官が辞任した事件に、民主党大統領候補のバイデンも関与していたと、報道されたことによって、報道陣からコメントを求められた。即ち、オバマ政権が終了する直前の2017年1月5日、ホワイトハウスの大統領執務室で行われた、FBIが実行したフリン補佐官についての調査に関する会議にバイデンが出席していたこと及びその際フリン事件の政治的要素を主に討論したと報道されたのである。
同時に、米連邦検事のジョン・ダーンによる、オバマ、バイデン両氏のこの件への関与も徹底的な調査が進行中である、との憶測もワシントンを駆け巡っているのである。
おまけに、この新事実を知った、トランプ大統領は一度ならず、オバマゲートが起こったと、ツイートしている。
 
権力乱用の罪を犯したオバマーバイデン
3.Barr politico

                 写真:(www.politico.com)
これらの情報、憶測に対して、バー司法長官は記者会見を開いて、「この種の情報を否定した」後、長官は今日(5月21日)得た情報によると「ダーン検事の調査がオバマ、バイデン両氏の犯罪捜査に発展するとは予期していない」とも語った。
バー長官は「我々の法制度には二つの責任、即ち政治的責任と刑事上の責任が存在するが、この両者を混合或いは組み合わせるのは危険である」とコメントした。

司法長官は何十年にわたって政治的攻撃の武器として、刑事司法制度を利用する企てが増大してきた、と指摘した。即ち、トランプ大統領のロシアゲートというストーリーは民主党とヒラリー・クリントン選挙陣営によってFBIに提供され、FBIによってでっち上げられた、虚偽かつ全く根拠のないストーリーだったことが、今回明白になった。

トランプ政権は政治家、情報機関等による、裁判制度の武器化の監視、取締りを続行するつもりなので、この悪習は続かないだろう、と長官は語った。続いて、同氏は最高裁も「権力の乱用と連邦犯罪」を明確に区別している、とも語った。
どんなに極悪なものであっても、全ての「権力の乱用」が必ずしも連邦犯罪とは言えないが、「有り得ないことを犯罪捜査した」バイデンまたはオバマのケースはこれに当たる、と司法長官は語る。
即ち、オバマとバイデン両人の行動が犯罪に値しないとしても、両人は言語道断な権力の乱用によって罪を犯している。このような権力の乱用は選挙を通じて説明責任を果たすことが必要となる。これが多くの人が見逃している、非常に重要なポイントであり、「ロシア疑惑問題」で甚だしく欠けていたポイントである、と長官は語った。

裁判を党利党略のために使った民主党
4.James Comey kunc.com

                  写真:(www.kunc.com)
トランプ政権の司法省総括監察官は、前FBI長官のジェームス・コミーと副長官アンドリュー・マッケイブの振舞いを激しく非難している。こういう状況でも、オバマは「たとえ何が起こったとしても、責任は私にあります」と豪語できるだろうか?
コミーは権力乱用や疑わしい判決の記録を有しているとの多くの警告を受けたにもかかわらず、オバマは彼を任命した。悪いことにオバマに任命された、史上2番目の黒人司法長官ロレッタ・リンチは力不足だったので、コミーをコントロー出来ず、彼はやりたい放題だった。
もっとも前大統領はもとより、オバマーバイデン政権、否民主党全体が、「裁判の政治問題化」を党利党略のために活用した。

リンチの前任者だった、最初の黒人司法長官のエリック・ホルダー(2009~15)は行動主義者を自認し、教会、企業等に対するイデオロギー的キャンペーンを展開したり、州政府発行の投票者ID法に反対を表明したりした。この種の政治的手段はオバマ政権のすべての機関で常態化していた。例えば、連邦内国歳入庁は保守的NGOを弾圧し、環境保護庁は宅地造成業者をいじめることで知られていた。

バイデンはこの種の政治的手段を支持するとともに、彼自身FBIと各種情報機関の仕事を熱狂的に支持したが、これは2016年の大統領選中も変わらなかった。
我々は「フリン物語」におけるバイデンの具体的な役割を知る必要がある。すでに明らかになっていることは、バイデンはコミーの政治問題化したアプローチ手法を認めていたことだ。

2017年1月27日、バイデンはMSNBC TV局のアンドレア・ミッチェルから「情報機関の幹部がブリーフィングの際、大統領選の勝者トランプ氏に関する調査資料の内容を明らかにしたことは、リークされる恐れもあるので、すべきではなかったかのではないか?」と質問された。これに対しバイデンはコミーFBI長官が調査資料を発表することは、彼の義務だった、と答えてコミーをかばった。
そして、2018年2月、CNN-TV局記者の質問「外国情報活動監視裁判所(FISC)には関係部署に報告すべき、【権力の乱用】があったのではないか」に対し、バイデンは軽々しく「FBIの捜査に関する規定は非常に厳格なので、間違いなど起こる訳がない」と答えていた。
この際、バイデンは今回のフリン元大統領補佐官の控訴上告裁判の後、監察官が発表した、「この裁判に対してのオバマーバイデンの介入に関する、FBI捜査官の法廷に対する、権力乱用による情報操作に関しては沈黙を保った。」
投票で政治的論争の決着を!
5.madison.com - コピー

                 画像:(www.madison.com)
以上、「FBIの権力乱用を許したオバマーバイデン」をレポートした。この件について、ウオールストリート・ジャーナル紙のキンバリー・ストラッセル記者は彼女のコラム「Potomac Watch」(5月21日)に下記のコメントを書いている。拝借してまとめとしたい。
「バー司法長官のコメントはトランプ氏に対する、有益な忠告になっている、と思う。即ち、絶え間なく続く大統領の司法省への圧力は、ダーン検事が行った前政権に対する、捜査の価値を低めるだけである。その代わりに、大統領はオバマーバイデン政権のありもしない事を裁判にかけて政治問題化した手法を選挙キャンペーンの主要テーマにすることの方がはるかに説得力に富んでいる。そうすることによって、もしバイデンが大統領になったら、再び検察官たちに政治家を的にする、裁判を起こさせ、2016年に行った権力乱用問題を隠蔽し、司法部門の改革、刷新の動きを止めることになる、と国民に知らせるべきである。アメリカ人は司法省が鳴り物入りの犯罪調査を通じて、政治的論争を決着させる手法を期待も望んでもいない。
米国民は、これらの政治的論争を決着させる、試験済みの、かつ適正な方法を持っている。『投票』である。」  
(終わり)